カリフォルニア報告

            寮の在り方小委員会メンバー 大島、萩原、高木 カリフォルニア商船大学 (California Maritime Academy, 以下CMA)およびカ リフォルニア州立大学バークレー校 (University of California, Berkeley, 以下UC Berkeley)の学生寮を、3月12日、13日に視察してきました。以下 にその報告をします。 *********************************************************** 1.カリフォルニア商船大学の学生寮 CMAは、サンフランシスコの北東約30マイルの Vallejoという美しい町にあり、 カリフォルニア州立大学の22番目のキャンパスである。 寮はキャンパス内に2棟あり、4個室がバスルームを共有する形式のタイプ (新寮)と、長い廊下にそって個室が並んでいるタイプ(旧寮)がある。各寮 とも原則2人部屋で、それぞれ約200名を収容できる。一人部屋は全部で9 しかない。 1、2年生は特別な理由がない限り入寮を義務付けられている。1年生はほぼ 全員が旧寮に入り、2人で1部屋を共有する。年齢が高い者、家族のあるもの などは、許可を求め学外に住める。 ルームメートは、2年生以上は自分たちで決める。1年生は生活習慣などのア ンケートに基づいて学校が決定する。毎年部屋替えがある。部屋の決定は、4, 3,2,1年生にそれぞれ4,3,2,1ポイントを持たせ、ペアとなる二人 の合計ポイントが高い順から好きな部屋が選べる。同ポイントのペアは、くじ 引きで部屋を選ぶ順番を決める。 部屋の大きさは、3.6 m x 3.9 mから3.6 m x 4.8 mの間で、越中島の学生寮 (3.8 mx 6.5 m)に比べかなり狭い。各人の備品は、机、椅子、洋服ケースに戸 棚である。各部屋には電話の端子、ケーブルテレビ、大学のコンピュータシス テムに接続できる情報端末がある。小型の冷蔵庫と電子レンジが一体となった ものを、リース可能である。 旧寮は、各階に共同の洗面所、トイレ、シャワールームがある。1階にコイン ランドリー、レクリエーションセンター、スナックセンター、学習室、理髪店、 テレビラウンジなどがある。 寮内は禁煙(カリフォルニア州の法律による)、禁酒(もちろん飲んではいる だろうがとのこと。ビールの空き缶がころがっていると学長自らが怒鳴り込む らしい)。ランダムのドラッグテストがある。 女子学生も入寮する。旧寮では1フロアー全部を女子に当てることが人数の関 係でできないので、残りの部屋は男子学生が使用している。新寮は、バスルー ムをシェアする4部屋で居住ブロックになっており、女子もいくつかのブロッ クを使用している。 学生が払う寮費は、2人部屋で1学期(年2学期)1250ドル(電気/水道料込 み)である。寮生は強制のミールプラン(週19食)を購入し、カフェテリアで 食事する。食費は1学期に1575ドル、駐車料金は月12ドルである。 掃除は外注している。学生は居室の掃除のみを行う。寮全体の予算は年170万 ドルである。大学は州立だが、寮の運営は独立採算がとられている。 各寮には住み込みのresidential director (20代後半)がおり、その他に学生 の中からresidential advisorをつのり、管理にあたらせている。residential advisorは2年生以上で寮費が免除される特典がある。また、学生のための ombudsman(学内でかなり高いポジション)がいて、学生の面倒を見てくれて いる。 photo1:CMAの学生寮(旧寮) (写真をクリックすると拡大します) photo2:CMAの学生寮(旧寮)の部屋 photo3:CMAの学生寮(新寮) photo4:CMAの学生達(週3回、昼に整列して学生代表からメッセージを伝え る。後ろに旧寮と新寮が見える。) *********************************************************** 2.カリフォルニア州立大学バークレー校の学生寮 UC Berkeleyは、サンフランシスコ湾をはさんでサンフランシスコの対岸のバー クレーにあり、カリフォルニア州立大学のメインキャンパスである。 学生数が多いので、全部で7つの寮がある。そのうち5つの寮の収容人数はそ れぞれ800〜1000名、2つの寮の収容人数は約200名と300名である。部屋は2 人部屋か3人部屋が基本で、値段は強制のミールプラン(週14食)込みで年 8500〜9500ドル程度である。CMAの5650ドル(2825 x 2)に比べてかなり割高と いうことになる。 部屋の大きさは、二人部屋で3.9 m x 4.2 mから4.5 m x 5.4 mの間である。部 屋の備品や情報コンセントなどはほぼカリフォルニア商船大学と同じで、 residential director や学生のresidential assistantがいるのも同様である。 (こちらは寮費が免除ではなく、大いに減額されるとのこと。)各フロアに共 同の洗面所、トイレ、シャワーがある。1階にはカフェテリア(食堂)やレク リエーションルームなどの施設がある。 CMAの人里離れたキャンパスと違い、UC Berkeleyの寮は大学の周囲の住宅地に あるので、寮の入口は常時ロックされており、中に入るには鍵が必要である。 寮の運営はCMAと同様、独立採算制である。 学生数に対して寮の部屋数が不足しているので、1年生と編入生には必ず部屋 を保証するが、学年が上がるにつれて、申し込んでも当たらなくなる可能性が 高いシステムになっている。例外は入学時の成績優秀者と障害者である。 男子寮が1棟、女子寮が1棟あるが、他の寮は男女混在型である。混在型の寮 では、部屋は同性者でシェアするが、フロアには男子の部屋と女子の部屋が混 在し、シャワールームまでシェアしているとのことだった。 photo5:UC Berkeleyの学生寮(8階建てで、収容人数約240名。このタイプの 建物4棟とカフェテリアのある共同棟が1つのユニットになっている。このよ うなユニットが3つある。) photo6:UC Berkeleyの学生寮(共同棟)の中のカフェテリア photo7:UC Berkeleyの学生寮(Spanish mission スタイルの寮) photo8:UC Berkeleyの学生寮(Spanish mission スタイル)の中のカフェテ リア *********************************************************** 感想として、CMAもUC Berkeleyも、寮の部屋は本学の学生寮に比べてかなり狭 いものです。本学の学生寮の部屋は、スペース的に極めて恵まれています。 (4人部屋だったものに2人で住んでいるのですから当然ですが。) また、両大学とも専門のresidential directorやresidential advisorを配置 し、学生の面倒を非常によく見ています。カフェテリアやレクリエーション施 設も充実しています。学生の健康を考慮して、食事を強制的に寮でとらせると いうのも特徴的です。(何通りかの食事数の選択はできますが。) 「快適に暮らせて、通学や食事に時間を取られることなく、勉強や課外活動に 集中できる寮」というのは大学の大きなセールスポイントであり、大学案内の 中にも「こんなにいい寮があるんですよ!」というのを宣伝しています。 東京商船大学もこんな寮を目指したいですね。 なお、CMAおよびUC Berkeleyの学生寮webサイトのURLは以下の通りです。 CMA学生寮webサイト Berkeleyの学生寮webサイト


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