女子学生の入寮について




                            2001年11月14日                        寮の在り方小委員会 主査                                萩原秀樹
1.女子学生を入寮させる理念  東京商船大学は、1875年に私立三菱商船学校として設立されて以来、長く男 子のみに商船学を教育してきた。しかし、教育の機会均等・男女平等の原則に 基づき、女子にも商船学教育を施すことが大学としての義務であるとの認識の もとに、1980年に初めて女子学生を受け入れた。それから21年が経過し、今年 3月までに209名もの女子学生が本学を卒業し、多くの職場で活躍している。 今年10月1日現在、商船学部の在籍学生818名中、121名が女子学生であり、そ の割合は15%に達している。
  本学には収容能力の大きな学生寮があり、現在303名の男子学生が寮生活を送っ ている。寮で生活することにより、学生は居住費を大幅に節約でき、通学にほ とんど時間をかけずに勉強や課外活動に取り組むことができる。また、寮生活 を通してリーダーシップや協調性、コミュニケーション能力、他人への思いや り等を自然に身につけることができ、これらは本学で寮生活を行った学生の特 性として、社会に出てから大いに評価されている。
  このように恵まれた学生寮を持ちながら、女子学生の入寮はいまだに実現して いない。本学が男子学生と全く同等に女子学生を教育し、社会に送り出してい ることを考えれば、全学生の15%を占める女子学生に学生寮を提供できていな いことは、大学の女子学生に対する教育サービスが不十分であると言わざるを 得ない。学生寮に入れないために、長時間かけて通学したり、高い家賃を払っ て下宿し苦学している女子学生が非常に多く、それらの女子学生のために学生 寮を提供することが大学の急務である。
 女子学生の入寮が実現すれば、女子も男子と同様に、寮生活からリーダーシッ プや協調性等の貴重な資質を身につけることができ、本学女子学生に対する社 会評価が一層高まるものと考えられる。女子学生への学生寮提供は、極めて付 加価値の高い教育サービスである。


2.女子学生の入寮に向けて
 周知のように寮の在り方小委員会は、今年4月から学生寮の運営を大幅に変 更し、それまでの部屋の縦割り制を廃止して、原則的には気の合う学生同士が 2人で住めるようにした。また、1年生はすべて1寮に居住することとし、1 寮の各フロアーにはいくつか上級生の部屋を置いて、1年生の生活指導を行っ ている。その結果、それまで大きな問題となっていた強制飲酒や暴力、いじめ などは激減し、秩序ある寮生活が維持できるようになっている。寮秩序がこの ように大きく改善された現在、長年の懸案であった女子の入寮を検討し、実現 させる好機である。
  過去に学生寮の改築(建て替え)を検討した際(1996, 1997, 2000年)、現在 の4棟の男子寮とは別に女子寮の1棟を作ることが計画されたが、いずれも予 算がつかず実現しなかった。その後、改築は難しいとの文部省(現文部科学省) からの連絡を受け、平成13年度から「改修」として要求することになり、独立 した女子棟の新築は望めなくなった。そこで、寮の在り方小委員会は、現在の 学生寮の1フロアーを女子専用フロアーとし、そこに女子学生を入寮させる方 針で、女子フロアー作業部会を設け、検討を開始した。
  これまでに3課程の課程会議において、女子を入寮させることについて議論し たところ、3課程とも女子の入寮について反対はなく、安全面や設備面での配 慮を十分行った上で、女子を入寮させるべきとの意見であった。また、文部科 学省に女子入寮に関して問い合わせたところ、女子入寮を禁止・制限する規則 はなく、女子学生の割合に合わせて女子を入寮させることが望ましいが、その 際安全面に配慮することが必要とのことであった。
このような状況を踏まえて、現在女子フロアー作業部会は具体的な女子フロアー の構造について検討を行っている。すなわち、女子フロアーの設置場所、安全 対策(居室の鍵の強化、非常階段ドアの鍵の強化、トイレ・シャワールームへ の鍵の設置、防犯カメラの設置、非常ベルの設置等)、生活設備(トイレの改 修、ユニットシャワーの設置等)などを検討している。
 今後、この女子フロアーの構造について、寮の在り方小委員会、各課程、学 生委員会で検討を行い、総務委員会、教授会で了承が得られれば早急に工事に 着手して、来年4月から女子フロアーに女子学生が入寮できるようにしたい。






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